はじめに
赤色灯を回しながら走行している消防車が近づいてきたので、道路端に車両を寄せて、停車して待っていたら、結局、緊急走行じゃなかった。
こんな経験ありませんか?
今回は、緊急走行の定義について、また赤色灯がどんな意味を持つのか、元消防士が解説したいと思います!
結論だけ知りたい人へ!
☆結論、消防車が赤く光ってる(赤色灯が点灯している)だけなら、緊急走行ではありません。普通の車と同じ扱いとなりますので、道路左に寄せて道を譲る必要はありません。
緊急走行の定義
◯道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)関係規定(抜粋)
(緊急自動車の通行区分等)
第三十九条
緊急自動車(消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう。)は、第一七条第五項に規定する場合、(省略)、、、
さらに道路交通法施行令第十四条の四では、このように書かれています。
◯道路交通法施行令(昭和三十五年政令第二百七十号)(抜粋)
(緊急自動車の要件)
第十四条
前条第一項に規定する自動車(消防機関その他のものが消防のための出動に使用する消防用自動車のうち、消防のために必要な特別の構造又は装置を有するもの)は、緊急の用務のため運転するときは、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により設けられるサイレンを鳴らし、かつ、赤色の警光灯をつけなければならない。
なんだか堅苦しいですが、2つの条文をまとめるとこういうことです!
緊急走行の定義
①緊急自動車とは、消防車や救急車、その他政令で指定された自動車でなければならない。
②緊急の用があるため、運転中でなければならない。
③サイレンを鳴らし、かつ、赤色の警光灯をつけなければならない。
この3つの条件を満たしていなければ、一般走行となります。
つまり、今回のテーマである「消防車が赤く光ってるのにサイレンが鳴ってない時ってなんなん?」という質問に対する答えはこうなります。
赤色の警光灯(赤色灯)を付けているだけの消防車は、一般車両です。
ですので、消防車に道を譲る必要はありません。
では、赤色灯だけをつけているのは、なぜか。
次は、そのことについて話していきたいと思います。
赤色灯だけ点灯しているとき
①災害出場の帰りである
災害業務を終え、帰路についている消防車は、赤色灯を点灯させ、走行しています。
帰りも赤色灯をつけなければいけないという法律はないのですが、帰署するまで業務が終了していないということ、また警戒中の意味も込めて点灯させているのだと思います。
②パトロール中、または警戒中である
市民の火災予防への意識を強める目的で、春と秋に火災予防運動を行います。
消防業務としては、ポスター配布や消防車でパトロールを行うのですが、
パトロールの際、音声放送とともに赤色灯を点灯させます。
赤色灯を点灯させることで、市民により強くアピールできるためです。
もう一つは、警戒中です。
「最近なんだか火災が多い」
そんな時に消防車でパトロールを行います。
市民の不安な気持ちを和らげること、市民の火災予防意識を向上させること、などを目的に赤色灯させてパトロールを行います。
③緊急性がない
火災、命に関わる急病・事故などの場合、消防車は1分1秒でも早く現場に到着するために、緊急走行をします。
しかし、そうでない場合、赤色灯だけ点灯させ、一般走行で現場に向かうことがあります。
それでは、緊急でない場合とは、どんな時か。
例えば、
「近所でゴミを燃やしている人がいるから注意してほしい」
「料理をしていたら火事になったけど、今はもう消火済み。」
「ベッドから落ちて、自力で戻れないから戻してほしい」
など中には消防機関の不適切な利用もありますが、こういった緊急性がないと判断できる場合は、一般走行で赤色灯だけ点灯させて、現場に向かいます。
④大きな道路、見通しの悪い道路で停車中である
大きな道路、または見通しの悪い道路で停車中である場合、赤色灯を点灯させることがあります。
その目的は、少しでも早く、消防車の存在を知らせるためです。
ハザードだけでもいいのですが、ハザードに加えて赤色灯を使うことで、より存在をアピールできて、事故防止となるのです。
まとめ
ということで、今回はサイレンを鳴らさずに、赤色灯だけ点灯させて走っている消防車の謎について解説しました!
赤色灯を点灯させている理由は様々ですが、サイレンが鳴っていなければ、一般車と同じ扱いとなりますので、道を譲る必要はありません!
みなさん、覚えておきましょう!
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